株式会社DONUTS 社長室 ときめきVRグループ グループリーダー M.K氏
『ときめきVR - VTuberとライブトーク』(以下、『ときめきVR』)は、株式会社DONUTSが開発した、VRをベースにした対話型コミュニケーションサービス。VTuberによるVRキャラクターと、ユーザーが1対1で気軽にファンミーティングを行うことができ、人気を集めています。そしてそのリアルタイム性に関わる重要な部分にPhotonが採用されています。今回は、『ときめきVR』の開発エピソードと、非ゲーム向けサービスPhoton Industries(以下、Photon)の導入で実現したこと、導入後の印象について開発部の方々に語っていただきました。
社長室 ときめきVRグループ グループリーダー M.K氏
社長室 ときめきVRグループ エンジニア F.K氏
―『ときめきVR』の企画が生まれた経緯を教えてください
F.K:社内会議で、3Dキャラクターを用いた新たなビジネス展開を模索していまして、いろいろと案が出た中で、「3Dキャラクターとユーザーが直接話せる仕組みは面白いんじゃない?」という話になりました。最初は、コンシューマーゲームのようなリアル系の可愛い3Dキャラクターを作ろうと思っていたのですが、それだとキャラクターの数が限られてしまいます。そこでVTuberの方々に、ご自身のVRMキャラクターを使ってもらい、ファンと1対1でコミュニケーションをとれる場を提供する形に切り替えたのが始まりです。
※VRMキャラクター:ドワンゴを中心としたVRMコンソーシアムが提唱する、VRアプリケーション向けの人型3Dアバターのファイルフォーマット
―そこからどのように開発を進めていったのですか?
F.K:2019年の春に開発がスタートしました。先ほど申し上げたように、最初はコンシューマーゲームを開発するイメージで進めたのですが、途中で方針を変更し、VTuberさんにVRMキャラクターのデータを提供してもらい、それをモーションキャプチャで動かす形に変更しようと考えました。モーションキャプチャの技術は自社開発を含めて何種類か持っていましたが、Appleさんが非常に簡単に提供できる機能を提供していたので、最初のバージョンはそれで進めました。
―開発を進めていく上で、どのような課題が出ましたか?
F.K:技術的な課題が多かったですね。何より、3Dキャラクターとユーザーがリアルタイムで会話できるようにするのが大変でした。手順としては、VTuberさんの全身をキャプチャし、モーションコントロールをかけ、VRMキャラクターに反映させ、そのデータをリアルタイムにユーザーのVRゴーグルやiPhoneと連動させなければなりません。
VRヘッドセット(Oculus Go、Oculus Quest、Oculus Quest2、HTC VIVE)、iPhone、Androidに対応
YouTubeなどの配信であれば、10秒ほど遅れても許されますが、『ときめきVR』は会話の遅れが1秒以内でないと成り立ちません。その実現を目指して苦労する部分が多かったですね。しかも今回は、パソコンなどの強力なハードウェアを前提にせず、iPhoneやVRヘッドセットだけでリアルタイムに動かす必要がありました。
―なぜPhotonを使うことになったのでしょうか?
F.K:『ときめきVR』は、常時配信するわけではなく、アポイントが入った時にだけ会話をする運用を考えていました。したがってコストがかかるサーバーを建てる必要はなく、弊社として初めてフルクラウドシステムを検討しました。
『ときめきVR』では大規模な機材を使う必要がなく、iPhoneのみを使ってライブ配信ができ、ユーザーはトークLIVEチケットを購入することで、2分間の1対1トークができる
しかし、フルクラウドで音声とモーションデータをリアルタイムに転送するのは実はかなり難しいことです。まず世界的に有名なサービスを使ってテストしてみましたが、タイムラグやモーションデータのリアルタイム伝送が難しいなど問題が多く、そのサービス開発スタッフからも「弊社では難しい」と回答がありました。WebRTCなどの技術も使ってみましたがこれも上手くいかず、いろいろと探した結果、Photonにたどり着きました。
Photon「REALTIME」を用いてモーションデータのコントロール、およびユーザーのオペレーションデータなども含めて相互に交換し、Photon「VOICE」で音声通話を行う仕組みです。Photonは無料枠で使える範囲があり、その枠内ですべてを作ってテストし、「これならリアルタイム性も問題ない」と判断できたので、Photonを正式採用しました。
―Photonを導入した感想は?
F.K:Photonには非常によくできたサンプルプログラムがあり、しかしよくできすぎていて、最初はプログラムの意味が分かりませんでした(笑)。はじめのうちは、サンプルの動作を見ながら「これは、こんな風に中でやっているのかな?」と推察しながらコードを分析し、実験プログラムを使って自分たちでも動かして、手探りで進めましたね。幸い、Photon運営事務局さんにサンプルの説明やコードの意味を何度か問い合わせし、その都度、とても早く回答をもらえたので助かりました。サンプルの意味を理解し、自分たちでも使えるようになってからの開発は早かったですね。
―Photonを導入して良かったことは?
M.K:安定性ですね。「ストレスなく安定してちゃんと動く」ことが何より良かったです。このような基本的なSDKは、「感動」よりも「確実に動く」だったり「信頼性が高い」ことが大事だと思います。その点、Photonは信頼性が高いですね。
また仮に、Photonが担っている部分を社内で作ったとすると、メンテナンス等が大変で、開発スタッフが変わった際に上手く引き継ぎができない可能性があります。そうしたサービス運用の面を考えると、外部の優秀なサービスを採用する方が良かったりしますね。Photonを採用したことで、運用コストでも大きなメリットを生み出せたと思います。
―リリース後の反響や今後の予定について教えてください
M.K: Photonのおかげでリアルタイム性の問題を解決し、2021年2月のリリース後もスムーズにサービスを開始でき、サービス提供を続けています。
今後も、『ときめきVR』のサービスをいろいろと拡充していきたいと思っているので、PhotonのほかのSDKも含めて活用を考えていきたいですね。
株式会社DONUTS:https://www.donuts.ne.jp/
ときめきVR:https://tkmk.live/
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