こちらは、2020年1月14日に公開された以下のドキュメントを翻訳したものとなります。
Dev Story: The Future of VR is Social
この記事は、とあるインディースタジオ、Starcade Arcadeの創設者であるアレクサンダー・クラーク(Alexander Clark)氏に投稿いただいたゲストポストです。Starcade Arcadeは、Steamで配信中のマルチプレイヤーストラテジーゲーム、Starblazer VRの作成元です。
Starblazerは、RTS(リアルタイムストラテジー)初心者からベテランRTSプレイヤーまで、仮想現実でスペース艦隊を余すところなく操る、スリル満点・アドレナリン大放出のリアルタイム没入型ストラテジースペースバトルゲームです。
マルチプレイ非対応でのローンチ
Starcade Arcadeがスタジオ第一作品目のタイトルとなるStarblazerをローンチしたとき、大きな間違いを犯していました。マルチプレイ非対応で市場に公開していたのです。その当時は、マルチプレイに対応しないことはもっともな判断だと考えられました。マルチプレイ部分を完成させるのに苦労していましたし、中核をなすシステムの多くは存在し、プレイヤーにお試ししてもらえると思ったのです。
私たちが気づけていなかったのは、プレイヤーにとってオンラインの対戦相手に向かうことで得られる楽しさとスリルをマッチの中で体験することがどれだけ大きなものかということです。Starblazerをプレイした人々からのフィードバックは一貫していて、はっきりとしたものでした。「マルチプレイがあれば、最高なのに。」
ありがたいことにマルチプレイに関する技術的な問題は、Photonの簡単に実装できるシステムでかなり簡単に乗り越えることができましたが、一方で自家製のマルチプレイ要素には何か月もの時間を割きました。Photonを取り入れたことで、マルチプレイ機能の改良・再構築をひと月もかけずに行うことができました。
ゲーマーやパブリッシャー、ディストリビューターなどに自信をもってゲームを紹介する状態に持っていくのに、このスピーディーな巻き返しはきわめて重要なものでした。
マルチプレイがなぜ重要か
根本的には、ジャンルの問題だと言い切ってしまうこともできます。Starblazerはリアルタイムのストラテジーゲームを前提として、初めから競い合うeスポーツとしてデザインされました。
マルチプレイという選択肢があることも、ゲームの将来にとってマルチプレイが大切なものであることもずっと分かっていました。でも、なぜこの局面でそんなにも大事なことだと感じたのでしょう?
私の仮説では、「孤立」という一つの言葉に落ち着きます。VRには裏表二つの面があり、一つは「没入感」です。プレイヤーは別世界に連れていかれ、これまでに経験したことのない環境や経験に取り巻かれます。これがVRの魔法です。
もう一つの面として「孤立」があります。プレイヤーはひとたびこの世界に入ると、たった一人で世界から遠く離れたように感じます。隣に座っている友人も見えなければ、家族が台所で夕飯の準備をしている音も聞こえないし、ステータス更新やメッセージさえも見ることができません。
ここにマルチプレイが入り込んだのです。VR世界のプレイヤーであると想像してみてください。たった一人で幻想的な空想の氷河の上で孤立しています…すると突然、空間に動きが現れます。ほかの誰かも同じ空間で動き回っているのです。自分に向かって手を振っている人がいたり、こちらに気づいてバーチャルな姿で会釈してくれたりします。
Starblazerでは、紛れもなく人によって作られたパターンで未確認の部隊が戦艦を送ってくることがあります。この瞬間こそが鍵なのです。不意にVRのような不思議な体験をし、かつそれを他の人と共有しているからです。
VR体験は、様々なかたちで共有できます。ソファに座っている誰かに、自分のアクションをテレビやモニターに映して見せることもできます。ビデオクリップを流すことも、録画したゲームプレイを誰かに見せることもできます。
VRに求められるのは、ソーシャルなつながり
ただし、VRをプレイしたことのある人は誰しも、これでは物足りないというでしょう。同じ空間に誰かが必要です。自分が見ている世界と同じ世界を見ている人が必要です。自分が見ている世界、体験しているものを、彼らも見て体験することを必要としています。
そうなると、全てが現実、つまり自分とそこにいる人が共有するまたとない体験となります。この体験をうまく実現するには、高い技術が必要です。私自身は、Photonを採用したことでStarblazerをそのレベル、つまりプレイヤー同士が同じアリーナに入り、熾烈な戦略バトルを繰り広げるレベルまで引き上げることができました。すべての技術やゲームエンジンが、VRが求めているつながりのある性質に適応していく必要があります。
今後数年で、VRゲームはもっとマルチプレイを取り入れるようになり、ソーシャルな体験になっていくでしょう。私たちは仮想チャットプラットフォームのパワーを目の当たりにしてきました。あらゆるゲームが発展を続け、今後は多くの人を巻き込んでいくことでしょう。
数年以内に、より広大な仮想ワールドがビルドされ成長していくことと思います。私たちはスペース内で一人きりではなく、友人や家族と同じ仮想の地面の上に隣り合って立ち、仲間のいる先駆者となります。
VRの将来は輝いています。ただ、その将来は誰かと一緒に見て初めて輝かしいものになるのです。
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